「川ごみサミットin諏訪湖」を開催~海ごみ・川ごみゼロを目指して~
今世界中で大きな課題となっている海洋ごみ問題。川や海に流出したごみが生態系や環境に悪影響を与えている現状をふまえ、全国から有識者が集まり、問題解決に向け、川ごみゼロ・海洋ごみゼロを目指して現状分析と具体的な対策を検討し合う「川ごみサミットin諏訪湖」が11月18日(土)に岡谷市で開催されました。
諏訪湖まるまるごみ調査 結果発表 約9割がプラスチック由来のごみ
第1部では、海と日本プロジェクトと諏訪湖創生ビジョン推進会議などが共同で実施した、“諏訪湖まるまるごみ調査”の調査結果が発表されました。この調査では、今年9月、市民・民間企業・自治体関係者およそ170人が参加し、諏訪湖周辺の4か所に分けてどんな種類のごみがあるかを調べました。回収量147kgのうちプラスチック製品由来のごみは90.4%と突出していました。続いて紙くず6.6%・空き缶(アルミ)2.2%・ビン0.4%となりました。
調査をまとめ発表した長野県諏訪地域振興局環境課長の田邊皇子さんは、「観光客など多くの人が訪れる場所は新しいごみが多く、人が入りにくい場所ほど劣化が進み細分化している。定期的な清掃は行われているものの、微細化したプラスチックごみは目に着きにくいので現状を認識することが重要」と話しました。また、信州大学大学院(諏訪臨湖研究所)修士の﨏川岳大さんは、「諏訪湖のマイクロプラスチックごみは、その多くが“見えないごみ”で、本来軽微なごみは水に浮くが、プランクトンや泥や石とくっつくことで湖底に沈む」と発表しました。
地元小中学生が環境活動を発表
諏訪湖は、街のシンボルであり、美しい姿を未来に残していこうと、地元の小中学校では環境活動が盛んに行われています。
上諏訪中学校は、1971年から50年以上、諏訪湖の清掃を続けています。一つのクラスから始まった有志による清掃活動が全校に広がり、現在では、5月・9月・10月の年3回、ごみ拾いを行うのが伝統となっています。そうした活動の中から、諏訪湖の環境に関心を持ち、自主的な研究課題として学習する生徒が増えています。
下諏訪南小学校は、7月に海洋ごみ問題の出前授業を受けたことから、この日は寸劇を通して“ごみのポイ捨てをする人の心理”を発表しました。「まあいいか」という気持ちがポイ捨てを増やす原因であると考え、「啓発するポスターをみんなで書いて、ごみが多い場所に掲示していくなどの活動をしたい」と宣言しました。
岡谷こどもエコクラブの児童らは、諏訪湖周辺でどんな種類のごみがどのくらい落ちているかを調査しました。“見えるごみ”はプラスチック由来の物が多かったとのことですが、「見えない細かいプラスチックごみが諏訪湖に沢山あると思うと悲しい気持ちになる」との意見もありました。「大好きな諏訪湖を守るために、これからもごみ拾い活動をしていきたい」と発表を締めくくりました。
合わせて、集めた諏訪湖のごみの実物パネルを制作し、信州大学名誉教授の沖野外輝夫さんに贈呈しました。今後、県の施設で展示されるということです。
諏訪湖の“見えないごみ”を考える やがてそのごみは川へ海へ
第2部は“見えないごみ”について、有識者から研究の発表がありました。環境ジャーナリストの栗岡理子さんは、微細化した人工芝について紹介。「雨が降った時、人工芝のグラウンドからとても小さなプラスチック粒子が大量に流出した」との研究結果を示しました。
四日市大学環境情報学部の千葉賢教授は、「マイクロプラスチックごみの流出は行政や業界が動けば発生抑制は可能である。また、海に流れ出る前の内陸部や河川で微細化する前のプラスチックを回収することは有益である」と話しました。
最後は出席者による意見交換会が行われ、改めて川ごみゼロ・海洋ごみゼロに取り組む重要性を確認し、サミットの幕が閉じました。
海と日本プロジェクトin長野と全国川ごみネットワーク、下諏訪町諏訪湖浄化推進連絡協議会が主催となり、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環で開催されました。