信州の子どもたち、答志島で海洋ごみと対峙する! 後編
前編では長野県岡谷市の子どもたちが三重県鳥羽市の海の博物館を訪れ、海洋ごみ問題について学んだことをお伝えしました。いよいよ子どもたちは船で答志島に渡り、実際の海洋ごみの現状と向き合います。海のない県から来た子どもたちは、目の前に広がる海洋ごみの光景をどのように受け止めるのでしょうか。
奈佐の浜、驚愕の光景
答志島の奈佐の浜に到着した岡谷こどもエコクラブの子どもたち。目の前に広がる光景に、言葉を失いました。伊勢湾に流出する海洋ごみの4分の1、およそ3000トンものごみが漂着するという答志島。その中でも特に多くのごみが集まる奈佐の浜は、子どもたちの想像をはるかに超える状況でした。
この日、子どもたちは「22世紀奈佐の浜プロジェクト」の学生たちと一緒に海岸清掃活動に参加します。グループ対抗のごみ拾い競争として楽しく活動をスタートさせましたが、その過程で子どもたちは次々と驚きの発見をしていきました。
「ペットボトルや空き缶はたくさんあると思っていたけど、こんなに漁具が多いなんて驚きました」と、ある子どもは語ります。流木に絡まった網や、砂地に深く埋まった縄など、回収に苦労するごみの多さに、子どもたちは海洋ごみ問題の複雑さを実感したようです。
上流県の責任を実感
清掃活動を通じて、子どもたちは自分たちの住む長野県と海洋ごみ問題とのつながりを強く意識し始めました。ある参加児童は「みんなでちょっとずつ、きれいにしていかないといけないなーと思った」と感想を述べ、別の子どもは「ものすごいごみの量が多かったので、驚きでした」と目を見張りました。
岡谷こどもエコクラブの小口さんは、「川から入ったかもしれないごみも含めて、これだけのものが出ている。これを見るってことは衝撃的ですし、これからどうにかしなきゃいけないって思いが育つんじゃないかなって思っています」と、この経験の重要性を語りました。
海のない県に住む子どもたちが、自分たちの行動が海洋環境に影響を与えうることを、身をもって理解する貴重な機会となったのです。
300人の清掃活動、未来への希望
この日、岡谷こどもエコクラブのメンバーは、奈佐の浜プロジェクトが主催した一斉清掃にも参加しました。三重県内外から集まったおよそ300人もの参加者と共に、ごみを拾う姿は印象的でした。
大勢の人々が同じ目的のために集まり、力を合わせる様子を目の当たりにした子どもたちの目には、驚きと共に希望の光が宿っていました。「こんなにたくさんの人が海のためにがんばっているんだね」と、ある子どもが感動した様子で話す姿が印象的でした。
海洋ごみ問題は一朝一夕には解決できない大きな課題です。しかし、この日の経験を通じて、子どもたちは問題の深刻さと同時に、解決に向けた希望も見出したようです。
長野県岡谷市から三重県答志島まで、遠く離れた場所をつなぐ川と海。そして、その環境を守るために力を合わせる人々。この経験は、子どもたちの心に深く刻まれ、未来の環境保護活動の芽となることでしょう。