REPORT 開催レポート
2022.09.27 レポート

岡谷こどもエコクラブ 静岡でマイクロプラスチックごみ学習

ながの海ごみゼロプロジェクト実行委員会は、岡谷市環境部と連携し、9月23日(金)に静岡県浜松市の中田島砂丘周辺の海岸で、マイクロプラスチックごみ学習会を開催しました。

諏訪湖の水が行きつく先 天竜川の河口を見学

長野県最大の湖、諏訪湖を源流とする天竜川の水は悠々と流れ、213km先の遠州灘の太平洋へと注がれます。山と川と海のつながりを海洋ごみ問題を通して調査するのは、諏訪湖を有する長野県岡谷市在住の小学生とその保護者合わせて38人です。かつて諏訪湖は、工業排水などで環境汚染が悪化し、異臭が漂っていましたが、自治体や住民の努力により、トライアスロン大会が開かれるほど浄化が進みました。しかし、諏訪湖の湖底からマイクロプラスチックごみが発見されるなど新たな問題も発生しています。そこで、マイクロプラスチックごみが自然や人間、海の生き物にどのような悪影響を与えるのかを学ぶことを目的に、学習会を開催しました。一行は、まず、天竜川の河口を見学。同じ川でも、諏訪湖と海に近い河口では地形も水の色も異なり、川には様々な顔があることを実感。講師のひとり、中部流域連携ネットワークの清水雅子さんからは「天竜川はさまざまな川の水が合流するため、河口付近は幅が1kmもあるんですよ。」と説明すると、子どもからは、「家の近くの川とは大きさが全然違う。」と驚きの声がありました。

海洋ごみが海の生き物を苦しめている現状

メンバーが次に向かったのは、遠州灘の中田島砂丘。ここは、ウミガメの産卵地として有名な場所です。ここでは、海岸での野生生物の保護調査活動などを行うNPOサンクチュアリ理事長の馬塚丈司さんが講師となり、海洋ごみがウミガメに与える悪影響について説明してもらいました。

1988年、近くの海岸で大型のウミガメの死体が発見され、解剖した結果、お腹の中から、お菓子などのポリ袋が30枚も見つかりました。エサと間違えて食べてしまった結果、死んでしまったようです。こうした状況を起こさないために市民参加による海岸清掃を行うなどの活動を続けています。さらに今、大きな問題はマイクロプラスチックであると指摘。プラスチックがごみとして海に流れると細かく砕かれ拡散します。

学習会では、プラスチックごみがどのくらい砂に交じっているかの実験を行いました。海岸の砂を水に入れると砂は、沈みますがプラスチックごみは上に浮かびます。普段は気づかないマイクロプラスチックごみが大量に砂に交じっていることを知った子どもたちは驚いた様子でした。実際に海辺に出てみると、多くのごみがあり、砂浜には、人工的な色が混じったカラフルなマイクロプラスチックごみを多く見つけました。子どもからは「天竜川は海につながるので、諏訪湖で出たごみが流れてここまできたかもしれない。」と感想を述べ、海洋ごみは身近な問題であり、様々な影響があることを知りました。

未来の海の保全を願い海岸清掃 そしてウミガメの赤ちゃんを放流

ウミガメは、生まれてから太平洋の海で暮らし、およそ20年後に生まれた浜に帰ってくるといいます。そこで、ウミガメがきれいな浜に帰ってこれるように、ごみを捨てない、捨てさせないという意識を持つたために海岸清掃を実施。

雨の中の活動でしたが、浜には多くのごみが溢れていました。およそ30分間で30袋以上のごみが集まりました。

最後にサンクチュアリが実施するウミガメの観察会に参加し、生まれたばかりの体長6、7cmの子ガメを海に帰すお手伝いをしました。小さいながらも大海原に向かっている姿は感動的で「がんばれ」と応援しながら見送っていました。講師として参加した全国川ごみネットワークの小口智徳さんは「世界中で大きな問題となっている海洋プラスチックごみを他人事ではなく自分事としてとらえてもらい海からごみを減らしていく取り組みをしていってほしい。」と話しました。

参加者からは                               

・ウミガメの赤ちゃんがとてもかわいかったけど、海にごみがすごくあって悲しかった

・長野県ではあまり見られない海のごみが多くあり衝撃的だった

・なぜ、人はごみを捨てるんだろう?みんなで海をキレイにしないといけない

・諏訪湖のごみも海のごみも同じ。海にごみを流さないよう友達に伝えたい

といった感想がでました。